いつか、忘れてしまうから。

感じたことを"エモい"で片付けるのやめた

実家

会うたびに痩せて行く祖父

几帳面で細やかなところまで厳しくて

食卓の真ん中に座って

僕のいってきますと、ただいまを聞いてくれた

 

会社に入った年の夏、

喜び勇んで一人暮らしをはじめた

そこからあっという間に3年

僕は何も変わらず、本当にあっという間に感じた月日が、久しぶりに実家に帰ると押し寄せてくる。

 

久しぶりの食卓も

祖父は僕に話しかけることはなく

何を考えているのか、僕のことがわかるのかどうかもわからなかった

 

ただ、年と共に判断力が低くなり

几帳面な部分が研ぎ澄まされた祖父は

静かに、なんども、テーブルを拭いていた

 

髪の毛は昔から薄かったけれど

痩せて細くなった手首、口元の無精髭

どれも僕が知ってる祖父と大きく違っていた

 

ボケても声を荒げたり、騒いだりせず

黙々とご飯を食べ、食べながらテーブルを拭き上げる大人しさが

小さい頃の僕には見えていなかった祖父の芯の部分を剥き出しにしているように映った。

 

いつまで元気でいてくれるんだろう

今日の飯は美味かったかな

僕のことは覚えているのかな

聞いても答えは返ってこなさそうだったから

聞かなかった。

 

人が生きる時間を100として、

まだまだ先が長いと思っていても

残り20〜30になる頃には

聞きたいことも聞けない、言いたいことを言っても伝わらない。

そんなふうになってしまうと感じた。

 

もう一度、あの頃の祖父に会えたら

あの頃の祖父が今の僕にあったら

なんと声をかけるだろう。

 

ありがとう

 

音楽と僕

Apple Musicの中に自分がよく聴いていた曲を年別にプレイリストにしてくれる機能がある

いつでも好きなだけ音楽を持ち運べる、そんな今だからこそいろんな思い出が音楽についてくる

その時々の感情や匂いまで思い出させる音楽のいじらしさに、アルバムを振り返るような、そんな気持ちになったりする

 

2018年大失恋の年

僕は洋楽のロマンチックさに心酔し、女性ボーカルの透き通る歌声に魅了されていた

恋の始まりは前年の冬頃

冬の朝に聴くといい曲!と称して初めてデートに連れ出した彼女との話草にした

きのこ帝国、エドシーラン

お互いに好きといって話があったバックナンバーに塗れたプレイリスト

待ち合わせのLINEを打ちながら聴き、

デート中も頭の中で流れ、

帰りの電車で選曲し、

喧嘩した日にも聴いた曲

行った場所の雰囲気、香り、空気の色

記憶や思い出として片付けるにはあまりにも鮮明によみがえる

 

2019年変化の年

前年の失恋をズルッズル引き摺り、

歩いた跡には千と千尋の祟り神の如く負のオーラを残していた上半期。

サムスミスの歌詞に全てを重ね合わせて

愛の宮殿をひとり彼女の亡霊に怯えながら歩く人だと自分を思い込ませていた。

やがて失恋はエネルギーに変わって

もったいない男を振ってしまったと思わせるために前向きになった年半ば

アップテンポな曲が増えた

就職活動で第一志望の会社に向かうまでと帰り道に必ず聴いていた自分の自身を引き出せる曲ももちろんプレイリストに入っていた

 

音楽はあれもこれも思い出させる

いじらしく、とても清々しい

音楽がある限り、思い出は、色褪せない。

「大人」ってなんだ

学生時代に通い詰めていた飲み屋の女将さんが亡くなった

訃報の連絡がよく飲んでいたメンツのグループに投稿されて

あの頃に戻ったみたいにやり取りが飛び交った

あぁ自分の仲間はここにもいたんだなと思い出すような、懐かしむような、実感するような

 

その中の一人は去年自殺未遂をして

もう一人は最近精神的に病んでしまって休職中だった

でもあのグループでの会話は

学生時代のまま、タバコ臭い座敷でビールに溺れた毎日の匂いが蘇った

 

あれだけ毎日会って馬鹿騒ぎしていたやつらに卒業以来一度しか会っていなかった

 

やつらの記憶はその頃のまま

今どんな生活をしているのか

知らなかった

 

女将さんの死がまた仲間たちとの距離を縮めてくれたように感じたけれど

離れていたのをそのままにしていたのは自分だった

 

関心の円の半径が日に日に小さくなって

今では目の前のことばかりしか見えない

外界への関心、繋がりがなくなっていくことに気がつかなかった

 

「大人」に近づいている!ものすごく嫌なのに抗う気力もない気がする

 

気が付けているのに何もしない

楽だから、余裕がないから、

それが「大人」

 

電車の中で人と身体がぶつかれば

必死に押し返す

自分の非は忘れて人のことを責め立てる

人に優しくすることを忘れる

面白いことは受動的に、頭を使わずに済むように考えて

 

学生時代はどんなことでも面白がれた

僕はつまらない大人に片脚をズッポリ踏み入れたところで気がついたから

必死に引き抜いて

大人になんてならないように

うんこして、うんこ投げて

素っ裸で人生走りきってやろうと

思ったので

忘れないように書いておく。

朝うんちをする習慣は僕にはない

腹が痛い

犯人は昨日食べたタイ料理で間違いない

朝からトイレに座って顔を歪ませてたら鼻水が垂れてきた

お尻丸出しで、腹に鈍い痛みを感じながらトイレットペーパーで鼻を嚼むとなにか物悲しい

 

そういえば昨日のタイ料理屋は不思議で

僕はトムヤムクン麺を頼んだのだけれど、僕以外の人のご飯が食べ終わる頃になっても来ないもんで、「注文通ってないんじゃない?」と友達が気を利かせて確認してくれた

 

「ウリキレテタヨ」

 

あ、教えてくれないんだ。ウリキレテタから他の注文はとかないんだ。

 

ってな感じで。

代わりにカオソーイってココナッツカレースープの麺を頼んだ

めちゃくちゃ辛かった。微笑みの国は微笑みの裏で死ぬほど辛い料理を人に食べさせることでストレスを発散するようになってあの食文化が形成されたと言われても納得できる(いや、できない)

顔から雫が垂れるほど汗をかきながらも、美味さでスープ完飲。

「タイ料理の辛さってバグを起こしやすいよな」なんて思考停止したセリフを吐きながら気がつけばどんぶりの底をレンゲでなぞってた

 

そのツケを今払っている

ケツ拭っている

何故か便乗してきた鼻水にも真摯に向き合っている

 

惨めな気持ちも少しだけある

 

微笑もう

 

都会っ子参上

頻繁に来る電車

自動改札

等間隔の電柱

灰色の空気

どれも僕にあってるなと帰ってくると思うんです

飛行機で本土から離れてワクワクしたし

きれいな空気とよく見える星、製紙工場の大きな大きな煙突と雲を作ってるようなもくもくの煙も全部久々で新鮮で

聞こえてくる言葉のイントネーションの違いも心地よくて

電車の車窓から見える田んぼ、オムツ工場、ティッシュ工場

どれもすごくいい刺激だった

 

泊まったホテルの枕はどんぴしゃだったしね

 

だけどやっぱり帰ってくると思うんです

やっぱりここだなって

 

もしここで一旦セーブしてデータをいつでもロードできる状態でニューゲームを始められるなら田舎に生まれて田舎の学校に通ってってのもやってみたいなって思った

 

思っただけ

イージーモードのパワープレーで生きていきますよ

ありがとう愛媛。僕に優しくしてくれて。

きらきら

椅子が進行方向を向いて並んでいる電車に長いこと乗るのが好きだ

1人で好きな音楽を聴きながら窓を覗いて自分と逆に走っていく線路や草木を目で追う

ごみみたいな記憶がどかどか押し寄せてきて前に進んでいるのに変な感じだ

切符を確認しに来た車掌の作り笑顔を視野の端っこに入れて車掌を1回も見ずに切符を渡した

ありがとうございますって横から聞こえて

目の前に切符を出され何も言わずに受け取った

こんなに愛想を振りまけないほど疲れたのかと思ったけどきっとそうじゃない

車掌のありがとうございますは俺に向けられたものに感じなかった言う決まりだから言ったんだよって聞こえた気がした

それにヘッドホンから聞こえる音楽、外の音や景色、人の声や動きに自分を混ぜたくなかった

そういう気分に浸ってたんだろう

ごみみたいな記憶がすごいスピードでたくさんぶつかってきたせいかな

ごみみたいな記憶なのに思い出すのは腑に落ちていないからか

ごみにしてしまいたいからか

どっちでもいいや

車内の冷房がきついんだ

 

ようやっと、見知った土地に帰ってきた。

退屈しのぎ

カーテンを開けたまま寝た
朝の光で目がさめるからだ

そこからしばらく体を転がしながら唸ってみたりノビてみたりちぢこまってみたりする

しばらくすると目覚ましが鳴る
待ってましたとばかりの勢いで止めて
目を閉じる

目が覚めてもベッドからはでられない
少し早く起きたのに結局目覚ましの時間に活動を始められなかった自分に舌打ちを一回してから体をおこす

目が開かないので手探りで携帯を探す
見つからなかったら大体ベッドの下に落ちてる

画面をつけると眩しくて余計に目が開かない
いろんな通知がきてるけどとりあえず無視をして好きな音楽をかける

音楽をかけたまま携帯をポッケにいれて
洗面所で人間として最低限のひと通りの行為を済ませる

リビングに行くとやんややんやうるさく言われるかもしれないので自分の部屋に戻る
触らぬ神になんとやらだ

服も着替えて
髪の毛もととのえて
朝ごはんを食べにリビングに行った

一昨日部活で遅くなって食べられなかった夕飯の残りだった
食べようとしたら腐ってたのか臭かった

くせぇ。ごちそうさま。
って言って食べなかった
適当にパンを食べて
家を出る

今は1人で授業を受けてる
広い教室の1番後ろに座ってみた
おばさんの先生だけど
遠くからだとおじさんに見えた
声を聞いてびっくりした

居眠りをするか
途中退室をしようかと悩んでいる

あぁ大学生か
これが後数年続くのか

自然地理学
高校の地理のがおもしろかったな

髪を切りに行こっと