いつか、忘れてしまうから。

感じたことを"エモい"で片付けるのやめた

おはようの音

音が聞こえた
目が覚めた
朝の訪れの音か
工事の音だ
真横でやってる
自分の部屋で作業してるのかってくらい鮮明に
目がさめる直前自分が釘を打ってる夢を見た
目がさめて直後夢だったことと夢の理由がわかった
工事の人たちは大変だ
俺が起きる前から現場に来て釘を打ってる
そして俺を起こす
だけど健康的な時間に起こしてくれるからありがたいと思うようにしている
目がさめたのが午後だったりすると1日四肢が重たくて動かない

音が聞こえた
トラックがバックする音だ
うちの近所は狭い道が入り組んでいてトラックが出入りするのがいかに大変か免許を持っていない俺でもわかる
きっと運転手は舌打ちをしただろう

どんな場所に家建ててんだ

って
隣のアパートはかなり出来上がってきている
綺麗だしえんじ色と白の色使いはセンスがあると思う
だけど玄関灯をつけたまま工事の人たちが帰るのは許せない
俺の部屋の窓は明るいオレンジの光を面積いっぱいに吸いこむ
夜は窓と逆を向いて寝る
だけどそっちは身体の感覚的に落ち着かないから結局布団をかぶって窓側を向く
暑くてなかなか寝つけない
寝られたと思ったら
また
音が聞こえた
朝の訪れの音
朝だ。

におい

ニベアの保湿液の空き瓶を部屋で見つけた
蓋を開けてにおいを嗅いだ
においは瓶にしっかり残ってた
記憶も頭にしっかり残ってた
人生で一番クソな片思いの記憶だった
部屋ではiPhoneからブルーノマーズがthe lazy songを歌ってた
クソ片思いをしてた時期に何回も聴いてた曲だった
もう忘れたと思ってた
嗅覚と聴覚が全部思い出させた
会話も、気持ちも、出来事も、全部
むかつくほど鮮明に
思い出は美化されると言うけど
美化されててもクソだった
美化のしようがなかったのか
美化したいほど縋ってもいないのか

こういうことはよくあって
例えば花屋の前を通ると5、6歳の時に母の見舞いに行った病院を思い出す
花のにおいだ
病院のにおいは覚えてない
だから花屋のにおいはすきじゃない
暗くなってしまう
昔の記憶を思い出して暗くなるのではなくて
人にそう思われることが嫌で暗くなる
自分はとびきり人に気を使うくせに人に気を使われるのはすきじゃない

どのにおいがどの記憶とリンクしてるのかはわからない
だけどふとした時ににおいをかいで
なんでいまこの記憶なんだろう
なんでこのにおいなんだろう
ってたどっていくとそのにおいに行き着く
それがおもしろい

鼻があってよかったよ。