きらきら
椅子が進行方向を向いて並んでいる電車に長いこと乗るのが好きだ
1人で好きな音楽を聴きながら窓を覗いて自分と逆に走っていく線路や草木を目で追う
ごみみたいな記憶がどかどか押し寄せてきて前に進んでいるのに変な感じだ
切符を確認しに来た車掌の作り笑顔を視野の端っこに入れて車掌を1回も見ずに切符を渡した
ありがとうございますって横から聞こえて
目の前に切符を出され何も言わずに受け取った
こんなに愛想を振りまけないほど疲れたのかと思ったけどきっとそうじゃない
車掌のありがとうございますは俺に向けられたものに感じなかった言う決まりだから言ったんだよって聞こえた気がした
それにヘッドホンから聞こえる音楽、外の音や景色、人の声や動きに自分を混ぜたくなかった
そういう気分に浸ってたんだろう
ごみみたいな記憶がすごいスピードでたくさんぶつかってきたせいかな
ごみみたいな記憶なのに思い出すのは腑に落ちていないからか
ごみにしてしまいたいからか
どっちでもいいや
車内の冷房がきついんだ
ようやっと、見知った土地に帰ってきた。